2015年09月26日

人間は食べたもので出来ている

 秋の夜長、いかがおすごしでしょうか。

 裏部長です。



 シルバーウィークも終わり、来週後半からはもう十月がはじまります。北海道は夏が短いと言われていますが、秋もそう長くはつづきません。趣きのある、豊かな季節にしたいものです。




 さて、去る九月十九日、札幌大学研修センターにて、師範をお招きしての特別稽古が開催されました。


 札幌支部御用達の、何の変哲もない、コンクリート床の教室ではなく、きちんと畳の敷かれた武道場を借りきっての稽古。イヴェント要素の多い一夜でした。




 今回は、われわれ札幌支部のためというより、道新文化センターで古武術講座をとっている方達のために開催した特別稽古でした。


 木曜日の講座は2008年から、水曜日の講座は2009年からおこなわれていて、どちらもすでに六年以上つづいているものです。開講当時からかよってこられている方もいれば、その方達に負けず劣らず熱心に稽古されている方もいて、せっかくならそんなみなさんにも師範の技に触れていただきたい。そんな主旨が、今回の稽古にはあったのでございます。




 結果から申しあげると、盛況な一夜でした。道新文化センターのメンバーだけでも十名以上が参加され、そこに札幌支部のメンバーも加わって、トータルで二十名ほどの参加がありました。ふだんの稽古ではあまり見ない人数でしたね。




 毎度のことながら、稽古のなかでどんなことをしたのか、そのなかで師範がどんなことを教えてくださったのかは、ここには書きません。それは、あの日、稽古に参加していたみなさんだけの財産だから。ある人はただただ師範の技の素晴らしさに圧倒されたかもしれないし、またある人は、師範の話されるエピソードやその所作のあれこれに、ひそかな感動をしていたかもしれない。そこから得られる印象や教訓は人それぞれで、だからこそ学ぶということにつながるのですから、あえて、ここで認識を共有する必要はないのです。






 裏部長個人の印象でいえば、「シンプル」、そして、「濃さ」ということですかねえ。




 冒頭、メンバーによって稽古の内容をわけてスタートしました。


 道新メンバーは師匠とともに八段錦や太極拳をやり、われわれ札幌支部メンバーは、師範指導のもと、空手の基本をやったのですが、その合間に、いろいろな動きや技の解説をしていただくわけです。非常に貴重な時間だったのですが、師範から提示されるものは、つくづく肯かざるを得ないようなものばかりでありながら、あとで冷静になって考えてみると、

「その動作を技としてつかおうと思ったら、そうするよりほかにないよなあ」

 と思うものばかりだったのです。



 つまり、突きにしても蹴りにしても受けにしても、その動作が技としての力を有するためには、それ相応のつかい方や理合があります。当然それらはすでに師匠からも伝えられているものばかりではありながら、徹底していなかった面もあり、深く反省しつつも、結局すべての事柄は、とてつもなくシンプルなものばかりなのだと感じるしかなかったのです。ぐうの音も出ないとはこのことで、そこをきちんと見据えられる目と感覚があれば、大きく道を踏み外すこともないだろうとさえ思いました。




 あらかたのことは、もう何度も、実際に、すでに教わっていることなのです。




 空手の基本が終わり、師範に型を審査していただき、道新メンバーからもひとり体道の審査をしてもらったあとで、ようやく全員が合流し、師範主導のもと後半の(メインの)稽古がはじまったわけですが、ここでも裏部長、幸運なことに、師範の受けをほとんど取らせていただきました。流れ上、師範に投げられるだけでなく、師範を投げる場面もあり、なかなか得がたい貴重な体験をさせていただきました。



 この時間のなかで、わたしは幾度となく師範の身体に触れたのですが、そのとき受けた印象はいままでにないものでした。


 以前は、「空っぽ」「人のかたちをした浮き輪」「どこにも澱みがなく、力みもない」という印象があり、ここでもそれを書いてきましたが、今回はまるで違いました。



 師範の身体は、ものすごく「濃かった」のです。




 そりゃね、もともと薄いなんて思ってはいなかったのです。しかし、実際に接近し、実際に触れてみたとき、目のあたりに感じたその濃度は、想像していた以上のものでした。



 そのとき感じたものをそのまま記せば、色は真黒でした。それも、とにかく濃厚な黒。奥を見通してみたくてもまるでわからないほど濃く、粘っこく、深い黒。そのなかに巻きこまれたら最後、きちんと受け身を取らなければ、腕の一本や二本あっという間だなと、今回はじめて感じました。にこやかに笑いながら動いているのだけれど、内部で動いているものは絶妙に残酷なのです


 

 このほかにも、あの二時間ちょっとの稽古でわたしが感じたことはいろいろあって、書いてゆけば長くなってしまうのですが、今夜はこのあたりで終わっておきましょう。



 参加された道新文化センターのみなさん、お疲れさまでした。札幌大学でおこなう稽古へ参加されるのは今回がはじめてで、そこに師範もいらっしゃって、戸惑うこともあったでしょうが、たのしんでいただけたのなら幸いです。

 札幌支部のメンバー、もっと多く参加できなかったのかい。そりゃ忙しいのかもしれませんし、興味が失せちゃったのかもしれないけれど、師範が来てるんだぜ。十年ぶりの来道なんだぜ。顔を出すくらいでも、もっと集まってもよかったんじゃないのかい。




 ともあれ、学ぶことの多い一夜でした。



 師範、ありがとうございました。


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posted by 札幌支部 at 19:58 | Comment(0) | 裏部長の日記
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